17 / 260

第17話

「妃捺〜瑛翔くん、次行こ」 声をかけられて俺と椎河さんはシャチの水槽から離れた。 隣にはイルカの水槽がある。 「水族館といえばイルカだよねー」 桐崎さんがイルカを見ながら言う。 「あー、イルカショーとか?」 「そうそう!水族館来たらイルカショーは外せないよね」 「外せない!」 きゃっきゃっしている二人。 微笑ましいな、なんて見ていた。 そしてイルカの水槽の反対側にはベルーガの水槽。 「ベルーガって白いイルカのことだよね」 「そうなんだ?」 「ほら、ここにも書いてある」 椎河さんがパネルを指差した。 「水族館好きなだけあるね。詳しい」 「えっ、そ、そうかな?」 「うん。あ、こっち来たよ」 ベルーガは優雅に泳いでいて、ガラスの前を通って奥に行って、また手前まで来て、と、水槽の中をグルグルしている。 「目、回らないのかな?」 「ふはっ…」 「えっ、何で笑うの」 「発想が面白いなって」 椎河さんって天然なのかな? そんなことない…って呟く椎河さんの頭をポンポンと撫でた。 「嫌な気持ちにしてたらごめんね」 「…神代くんって見た目通りだよね」 「え?どういうこと?」 「優しい。あんまり気にしてないのにすぐに謝ってくれるし」 そう言って俺を見上げた椎河さんはニッと悪戯っ子のように笑った。 「あんまり気にしてなかったの?」 「ふふっ、ごめんね?」

ともだちにシェアしよう!