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第20話

イルカショーの後は、残りの館内を4人で回り、最後にお土産ショップに寄って水族館を出た。 「じゃあ俺は2人のこと送ってくから」 「瑛翔くん、今日はありがとう」 「神代くんありがとう」 「いや、こちらこそありがとう。楽しかったよ、またね」 3人は途中で電車を降りて行った。 18時を回ってるけど、7月頭のこの時期はまだ陽が落ち切っていなくて明るい。 綺麗な橙色の空を見上げる。 桐崎さんも椎河さんもいい子だった。 結局椎河さんとほとんどを回っていたから、結果的に桐崎さんと祥馬の2人の姿を見なくて済んだ。 目の前で見るのは辛いから。 「あ、瑛翔」 「ん?あ、佑嗣…部活帰り?」 大きなバッグを背負った佑嗣がジャージ姿で信号待ちをしていた。 「あぁ、来週試合だから」 「そうなんだ」 そして自然と一緒に歩き出した。 「どこ行ってたんだ?」 「水族館」 「…1人で?」 「そんなわけないでしょ」 水族館に男一人で行くとか痛過ぎる。 「…祥馬と?」 「うん、あと祥馬の彼女とその友達」 「ふぅん。ダブルデートじゃん」 「だよね」 「だよねって何だよ」 佑嗣は笑った。

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