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第22話

あの日から、椎河さんとはたまに連絡を取り合うようになった。 でも、2人だけで会ったことはない。 「妃捺ちゃんと連絡取ってるんだって?」 「何で知ってんの」 「澪央から聞いた」 「そう…」 「いい感じなのか?」 祥馬はニヤニヤしながら聞いてきた。 その言葉と表情にズキンと胸が痛む。 分かってる。 祥馬が俺のことを何とも思ってないことなんて。 俺に彼女が出来ても、別に何も変わらないって。 「椎河さん、いい子だよね」 「うんうん。澪央も言ってた。昔から優しくていい子だって。瑛翔とお似合いなんじゃね?」 「……そうだね」 「…?どうした?」 「いや、、俺先行くね」 「え?あー分かった」 俺は荷物を持って逃げるように教室を出て部室へ向かった。 「はぁ…」 「あ、瑛翔じゃん、早いな。祥馬は?一緒じゃないのか?」 俺に続いて入って来たのは先輩だった。 「こんにちは。はい、先に来ました。すぐ祥馬も来ると思います」 「そうか。そういや最近、祥馬と帰ってないって女子たちが言ってたけど、喧嘩でもしたのか?」 制服を脱ぎながら先輩は軽い口調でそう言う。 「してないですよ。ただ、祥馬に彼女が出来たので帰ってないだけです」 「へぇ、祥馬に彼女か。瑛翔は?彼女」 「俺はいませんよ」 「お前モテるのにな」 着替え終えた先輩は、それだけ言葉を残し部室を出て行った。 「モテたって何の意味もない…」 呟いた言葉は誰もいない部室に響いて消えていった。

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