23 / 260

第23話

この日、桐崎さんは用事があるとかで久し振りに祥馬と一緒に帰ることになった。 「はぁー今日も疲れたなぁ」 首を回しながら祥馬が言う。 「そういえば澪央がまた4人で遊びに行こうって言ってたぜ」 「うん、そうだね」 普通に頷いたつもりだったけど、祥馬は何かが引っかかったらしく突然俺の肩を掴んだ。 「なぁ、やっぱり怒ってんじゃねえの?」 「何が?」 「この間の…」 「だから怒ってないって。普通に楽しかったし」 祥馬はどこか不服そうだ。 そんな時、祥馬のスマホが音を立てた。 祥馬はポケットからスマホを取り出して画面を見て笑った。 そして、それは着信だったようだ画面をタップするとスマホを耳に当てた。 「もしもし?どうした?今日用事があったんじゃ…」 その言葉で相手が桐崎さんだと分かった。 いや、さっきのスマホの画面を見た時から、そうなんじゃないかと思った。 「え?あぁ、一緒だけど…ん、分かった」 その後一言二言話して、祥馬は電話を切った。 そして祥馬は俺に視線を向けた。 「澪央の用事が終わったんだって」 「そっか…」 それで、今から一緒に帰ろうって? 「それで一緒にご飯食べないかって」 「え?俺も?」 「あぁ、妃捺ちゃんもいるらしい」 「そう…」 「行く、よな?」 祥馬が不安そうに声を掛けてきたので、俺は頷いた。

ともだちにシェアしよう!