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第26話
翌日、桐崎さんから何か聞いていたのか、祥馬が後ろから俺の肩を掴み話しかけてきた。
「妃捺ちゃんに告白されたのか?」
「うん」
「瑛翔と妃捺ちゃんお似合いだよなぁ。妃捺ちゃんいい子だし、付き合うんだよな?」
今、自分がどれだけ残酷なことを言っているのか、祥馬は分かってない。
好きな人に、別の人とお似合いだと言われる気持ちを。
何も言わない俺に痺れを切らした祥馬が先に口を開いた。
「お前モテるのに今は彼女いないし、理想が高いのか?」
「…そういうんじゃないよ」
「妃捺ちゃんのことはどう思ってんだよ」
「素直で、かわいいと思うよ」
「だったら付き合えばいいじゃん。あんなかわいい子に好かれてさ、羨ましい」
ごり押ししてくる。
これも桐崎さんに何か言われてるんだろうか。
「でも…」
「何だよ、何か不満なのか?まぁ無理にとは言わないけど、瑛翔と妃捺ちゃん性格とかも合いそうだけどなー」
なんて言いながら、祥馬は自分の席に着いた。
「おはよ、瑛翔。どうした?そんなとこに突っ立って」
扉の所に立ったままで居れば、後ろから声をかけられた。
「あ、佑嗣おはよ。いや、別に…」
とは言ったものの今、祥馬の前である自分の席に座るのも気が引ける。
また、同じ話をされるかもしれないと思うと行きたくなかった。
「俺、飲み物買いに行ってくる」
「おー…」
そして下の階の自販機まで走って来た。
お金を入れてボタンを押して、普段なら絶対飲まないいちごオレなんか買ってしまった。
「あーやばい、動揺し過ぎ…」
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