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第31話
「あの、神代くん?ごめんね、こんなこと今更…あの、もしその、あれだったら、付き合うのも…」
「ううん。そういうことだったんだって、少し驚いただけだから、撤回しないよ?」
俺は隣に座る椎河さんの頬に手を伸ばし、優しく撫でた。
椎河さんは安心したように笑い、頬を赤く染めた。
「…引かれなくて良かった」
「ふっ、引かないよ。いつ俺のこと好きになったの?」
「中2かな…」
「じゃあ四年も」
「うん。高校生になってからも、忘れられなかったの。だから、夢みたい…」
俺と一緒だった。
中2で好きになって、諦められなくて。
色んな女の子と付き合っても、俺の気持ちは変わらなかった。
こんなに素直でいい子な椎河さんを好きになれたら、いいな。
それからもう少しだけ話をして、俺たちは公園を出た。
電車に乗って、椎河さんの降りる駅で俺も一緒にホームに降りた。
「あの、今日はありがとう。えっと、これからよろしくお願いします…」
ぺこりと頭を下げた椎河さんに笑ってしまった。
「っなんで、笑うの…」
「ごめん、可愛くて。うん、こちらこそよろしく」
ポンと頭を撫でた。
駅からは自転車らしく、ホームで別れた。
そして俺は再び電車に乗り込み帰路に着いた。
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