32 / 260
第32話
「瑛翔ー!!」
教室に入るなり、祥馬が俺の名前を叫んだ。
「何?」
聞いてはみたけど、祥馬が言いたいことは分かってる。
「お前、結局付き合うことにしたのかよ!」
バシバシと肩を叩かれる。
「…痛いなぁ」
「ごめんごめん、いやーでも良かった」
「…ほんと良かったねぇ?あの時、俺が水族館行くって言ってくれて。協力出来たもんね?」
「っ…妃捺ちゃんから聞いたのか?」
「直接聞いた訳じゃないよ?でも桐崎さんが椎河さんに協力するって言ったっていうのは聞いたから、そうかなって思って」
確信はなかった。
でも、この祥馬の反応で確信に変わった。
そしてこの会話は周りにも聞こえていたようで、
「えっ!瑛翔くん彼女できたの!?」
「神代くん本当に!?」
「まじかよ、狙ってたのにー」
とクラスメイトたちからの声が。
男の声も聞こえた気がしたけどそこはスルーしとこう。
「本当なの?」
隣の席の女子が聞いてきた。
「うん、本当だよ」
「誰?」
「他校の子だから」
俺の答えにその子は残念そうな反応をした。
「久城くんはその子のこと知ってるの?」
「あぁ、知ってる」
「どんな子?」
「えっと…「祥馬」
「あー悪い、言えないわ」
ひと睨みしたら祥馬は口を噤んだ。
ともだちにシェアしよう!