33 / 260
第33話
俺に彼女が出来たという話がいつのまにか、広まっていた。
祥馬と佑嗣と屋上でお昼を食べていれば、祥馬が溜め息を吐いて俺の顔を見た。
「はぁー知ってたけどやっぱお前モテるんだな」
「は?」
「すっげぇ聞かれる。瑛翔に彼女が出来たっていうのは本当かって」
「瑛翔に直接聞けない人が聞いてくるんだろうね。俺も聞かれたよ」
「え、あーなんかごめん」
高校生になってからは3人目の彼女だ。
1人目は高校に入って割とすぐ、先輩に告白されて付き合った。
いつもの決まり文句を言われて、2ヶ月で別れた。
2人目は一年の10月の文化祭で告白された。
その子とは年明けに別れた。
「来る者拒まずっぽく見せて意外とお前断るよな。しかも容赦なく」
「俺ギャルは好きじゃないし、グイグイくる人も苦手だから」
「一緒に帰る子もそういう線引きしてたの?」
「うん。最近は毎日何人かに誘われてるし」
「選び放題だって?はぁー!ムカつく」
祥馬は笑いながらパンを食べている。
「別にいいでしょ。それに祥馬には彼女もいるんだし、俺が誰と帰ろうが関係ないでしょ」
自分で言って悲しくなった。
「まぁな。でもそうか、妃捺ちゃんは静かな感じの子だし、大人っぽいとこあるもんな。これからは他の子と一緒には帰らないだろ?」
「当たり前でしょ」
まぁ、本当は付き合うつもりはなかったんだけど。
祥馬は知らないし、自分がそんな発言をしたことさえ覚えてないと思う。
高校に入ってから出来た彼女。
1人目も2人目も、祥馬が、俺と合いそう、とかお似合いだって言った相手なんだよ…?
今回はそれでも付き合わないって思ってたけど、結局無理だった。
ともだちにシェアしよう!