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第33話

俺に彼女が出来たという話がいつのまにか、広まっていた。 祥馬と佑嗣と屋上でお昼を食べていれば、祥馬が溜め息を吐いて俺の顔を見た。 「はぁー知ってたけどやっぱお前モテるんだな」 「は?」 「すっげぇ聞かれる。瑛翔に彼女が出来たっていうのは本当かって」 「瑛翔に直接聞けない人が聞いてくるんだろうね。俺も聞かれたよ」 「え、あーなんかごめん」 高校生になってからは3人目の彼女だ。 1人目は高校に入って割とすぐ、先輩に告白されて付き合った。 いつもの決まり文句を言われて、2ヶ月で別れた。 2人目は一年の10月の文化祭で告白された。 その子とは年明けに別れた。 「来る者拒まずっぽく見せて意外とお前断るよな。しかも容赦なく」 「俺ギャルは好きじゃないし、グイグイくる人も苦手だから」 「一緒に帰る子もそういう線引きしてたの?」 「うん。最近は毎日何人かに誘われてるし」 「選び放題だって?はぁー!ムカつく」 祥馬は笑いながらパンを食べている。 「別にいいでしょ。それに祥馬には彼女もいるんだし、俺が誰と帰ろうが関係ないでしょ」 自分で言って悲しくなった。 「まぁな。でもそうか、妃捺ちゃんは静かな感じの子だし、大人っぽいとこあるもんな。これからは他の子と一緒には帰らないだろ?」 「当たり前でしょ」 まぁ、本当は付き合うつもりはなかったんだけど。 祥馬は知らないし、自分がそんな発言をしたことさえ覚えてないと思う。 高校に入ってから出来た彼女。 1人目も2人目も、祥馬が、俺と合いそう、とかお似合いだって言った相手なんだよ…? 今回はそれでも付き合わないって思ってたけど、結局無理だった。

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