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第36話
好きな人に、恋人をどう誘えばいいのかを聞かれるって、そんな残酷なことある?
そりゃ、祥馬は俺の気持ちを知らないから、しょうがないけど…
あー、涙出そう。
「ちょっとごめん」
「えっ、瑛翔?」
俺は席を立ちひとまずトイレに向かった。
熱くなった目頭を押さえる。
「友達ってこんな相談も普通に受けるものなのかな…」
鏡を見れば情けない顔の俺が映る。
「…ほんと、馬鹿みたいに好きなんだよ…」
椎河さんと一緒に居て、楽しくても、心まで満たされることはない。
今日だって、ただの相談なのに会えることが楽しみで、、
「あーもう…」
また涙が膜を張る。
俺が目を拭いトイレを出た。
「ごめん」
「おう、どうかした?腹でも痛いのか?」
「いや、大丈夫だから」
「そうか…」
「うん」
「……」
祥馬は様子を伺うように俺を見つめる。
「あー…誘い方ね」
「おう!」
はぁ…
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