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第43話
「ねぇ!次あれ!あれ乗ろう!」
桐崎さんが祥馬の手を引き、はしゃいだ様子で指をさした。
指差した先にあるのは回転するようなジェットコースターで、ここまで3つの絶叫系の乗り物を連続で乗って来ていた。
俺と祥馬は大丈夫だけど…
「ごめん、あれは祥馬と2人で乗って来て。俺は椎河さんとちょっと休憩してるから。いい?」
「あ…、わ、私は大丈夫だよっ?だからみんなで…」
椎河さんは慌てて笑顔を作って言った。
「俺がちょっとキツいからさ、一緒に休憩してくれない?」
「…あ、うん。そういうことなら…」
椎河さんは不安そうに俺を見つめた。
「大丈夫かよ、情けねぇなー!」
そんな椎河さんとは違って、祥馬がそう言うと桐崎さんが祥馬の肩を軽く叩いた。
「分かった!じゃあ妃捺と休んでて!乗り終わったらまた連絡するね!祥馬くん行こ!」
「あ、あぁ」
そして2人はジェットコースターの方へ向かって行った。
「ごめんね」
近くのベンチに座ると椎河さんが謝ってきた。
「ん?何が?」
「私のため、だよね?ジェットコースター乗らないって…」
「違うよ、俺が4連続キツいから…」
「嘘」
「ははっ、すごいね椎河さん」
思わず笑いがこぼれた。
確かに、俺は"まだ"平気だ。
「私、絶叫系苦手じゃないんだけどね。ああ言ってくれてありがとう。澪央には言えないけど助かっちゃった」
椎河さんは気遣いもできる。
その気遣いは、俺に向けるべきじゃない。
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