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第52話
放課後になって、屋上からグラウンドを見るとそこに祥馬の姿を見つけた。
部長には体調不良で今日の部活は休むとさっきメッセージを送った。
泣きすぎたせいか、頭痛がする。
部活も始まっているし、そろそろ帰ろうとした時、屋上の扉が開いた。
「っ…!?」
「い、いたっ…!」
「佑嗣?」
「おまっ…保健室って言ってたじゃん」
「あ、ごめん…」
佑嗣の手には二つの鞄。
「帰りのHRになっても戻って来ないから、荷物持って保健室行ったら居ないし、先生も来てないって言うし…探した…」
「ごめんって…ありがとう」
「……泣いた?」
「っ…はは、分かるよね」
俺は目元に触れた。
そこは熱を持っている。
「何があったんだよ…祥馬に聞いても何も言わないし」
幼馴染みの佑嗣にさえ言っていなかった俺だけの秘密。
もう、自分の中だけで、処理なんて出来なくて。
「俺ね、ずっと、誰にも言ってなかったけど…祥馬のことが好きなんだ…」
佑嗣の顔が見れなくて、俺は俯きながら言葉をこぼした。
「昼休みに、やっぱり椎河さんと別れたこと問いただされてさ、思わず言っちゃったんだ。俺が好きなのは祥馬なんだって…言うつもり、なかったのに…」
「……」
佑嗣は何も言わず、視線だけを感じる。
俺は言葉を続けた。
「そしたら、気持ち悪いって言われた。普通じゃないんだよね。こんな、想い…こんな気持ち、早く捨てるべきだった…」
「そんなこと言うなよ」
「だって、俺のこと、気持ち悪いって…あんな風に拒絶されたら…ッ………どうしようもないでしょっ…」
「でも、それを否定することないだろ」
「いつまでも想われてたら、それこそ気持ち悪いじゃん、だったら消して、失くして、なかった事にすれば…」
「できないんだろ?」
さっき散々泣いたのに、頬を涙が伝った。
「ごめ、泣くつもりなんてなかったのに…」
「いくらでも泣きな」
佑嗣の温かい言葉に、更に涙が溢れた。
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