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第57話

それから数日、教室で祥馬は俺に一言も話しかけては来なかった。 それは俺からも同じで、視線は全く合わなかった。 この数日間ずっと体調不良で部活を休んでいたのだけど、それは長くは許されなくて、部長が教室へ直接やって来た。 「なんだ神代、お前元気そうじゃん。まさか仮病か?今日からはちゃんと来いよ」 「え、あ…」 「お前がいないと困るんだからな。じゃあな!」 俺が答える前に部長は教室から出て行ってしまった。 これで、今日も休む気でいたのに、そうもいかなくなった。 この日、部活に行ったことで、本当に終わりが来るなんて、この時は思ってもいなかった。 「おーちゃんと来たな!」 「こんにちは」 部室に入ると部長が既にいて、俺は挨拶をして自分のロッカーの前に立って準備を始めた。 練習が始まる頃には祥馬も来ていた。 ペアでやる練習は今まで祥馬とやっていたけど、祥馬は進んで他の人とやり始めた。 こういう光景にもこの数日で少しずつ慣れてきた。 祥馬が、俺じゃない他の誰かとつるむようになってきたこの様子に。 そして、事は起きた。 部活を終え、擦りむいた膝の手当てを保健室でしてもらってから部室へ向かうと、そこには祥馬しかいなかった。 入った瞬間、久しぶりに目が合った。 そしてその顔は歪められた。 「っ…」 俺のこと、やっぱり気持ち悪いって思ってる? 「瑛翔」 久々に聞いた俺の名前を呼ぶ声。 「…っ…」 声が出ない。 「俺、数日考えたけど、俺が好きって、普通じゃないと思うし、やっぱり気持ち悪い。俺はお前のこと好きだったけど、恋愛対象になる好きじゃない。お前が俺のことをそういう好きでいる限り、俺はお前と話したくねぇし、顔も見たくねぇ」

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