60 / 260

第60話

そして放課後になり、部活へ行く佑嗣と別れて校門に向かう廊下を歩いている途中、急に腕を掴まれ引っ張られた。 咄嗟のことで訳が分からず、そのまま教室に引きずり込まれた。 「っ!なに、誰…?」 未だ腕を掴んだままの相手の顔を見て驚いた。 「祥馬…?」 掴んだ腕が引かれ、閉められた扉に背中を押し付けられた。 「なに、、何で?」 俺の問いかけに祥馬は何も答えない。 話したくない? それだったらどうしてこんなこと、 そして、目が合った。 その表情はどこか怒りを含んでいる気がする。 「祥馬、なにがしたい…んっ!?」 唇が、重なって、 「な、んぅっ…ん…!」 触れるだけじゃない、深くなっていくそれに、俺は混乱した。 この人は本当に祥馬? 「祥馬っ、」 ドンっと祥馬の胸を押した。 簡単に祥馬は離れた。 「俺のこと好きなんだろっ?」 「……好き、だけどっ…」 「じゃあ何で佑嗣とキスなんかしてんだよ?」 「っ!! 何で知って…んんっ!ふッ、や…しょ、…まっ…」 祥馬は舌打ちをして、再び唇を重ねてきた。 「抵抗すんな」

ともだちにシェアしよう!