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第60話
そして放課後になり、部活へ行く佑嗣と別れて校門に向かう廊下を歩いている途中、急に腕を掴まれ引っ張られた。
咄嗟のことで訳が分からず、そのまま教室に引きずり込まれた。
「っ!なに、誰…?」
未だ腕を掴んだままの相手の顔を見て驚いた。
「祥馬…?」
掴んだ腕が引かれ、閉められた扉に背中を押し付けられた。
「なに、、何で?」
俺の問いかけに祥馬は何も答えない。
話したくない?
それだったらどうしてこんなこと、
そして、目が合った。
その表情はどこか怒りを含んでいる気がする。
「祥馬、なにがしたい…んっ!?」
唇が、重なって、
「な、んぅっ…ん…!」
触れるだけじゃない、深くなっていくそれに、俺は混乱した。
この人は本当に祥馬?
「祥馬っ、」
ドンっと祥馬の胸を押した。
簡単に祥馬は離れた。
「俺のこと好きなんだろっ?」
「……好き、だけどっ…」
「じゃあ何で佑嗣とキスなんかしてんだよ?」
「っ!! 何で知って…んんっ!ふッ、や…しょ、…まっ…」
祥馬は舌打ちをして、再び唇を重ねてきた。
「抵抗すんな」
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