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第72話

首の傷を手当てしようと佑嗣と一緒に保健室へ行った。 「あら、今授業中でしょ?どうしたの?」 「ちょっと怪我して…」 「ごめんなさい、ちょっと待っててもらえる?」 体調の悪い様子の生徒を先生が診ていたようで、その生徒に声を掛けて俺の方へ来てくれようとした時に、佑嗣がそれを遮った。 「あ、俺が手当てやるので、先生はその人診ててあげてください」 「平気?そっちの棚に消毒液とかあるから…」 そこにいる生徒と目が合った。 目を細めて俺を見たけど、すぐに俯いてしまった。 そして傷の手当ては佑嗣にやってもらった。 丁度良かったかもしれない。 首に歯形があるなんて、先生にどう思われるか… 手当ても終わり、俺たちは保健室を後にした。 「今日どうすんの?」 「…教室行くよ…行くけど、、」 正直教室に行きたくないというのが本音で。 祥馬と顔を合わせるのが怖い。 それに、 「佑嗣と戻るのはちょっと…」 「何で?」 「祥馬に、佑嗣と付き合うのは許さないって言われて、、それを怒ってる気がするんだよね。そんなの有り得ないのに…」 「本当に有り得ない?」 「え?」 「…いや、何でもない。じゃあ俺先に戻るから、落ち着いたら戻って来な。今のその顔じゃカッコイイ瑛翔が台無しだから」 ポンと佑嗣は俺の頭を撫でた。 「ダサいね俺…」 「そんなことないよ」 そう笑ってから、佑嗣は先に教室へ戻って行った。

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