75 / 260

第75話

俺は目を見開いた。 祥馬は、俺のことをそんな風に周りに言っているの? 「さっき久城のこと好きって言わなければーとか言ってたし。ってかそもそもそんなに興味なかったんだけどさ、イケメンくんに」 近づいたことで、身長差が意外とあったことに気づく。 そして、俺のことを揶揄うような呼び方をした。 「それ聞いてちょっと興味湧いて来てたとこなんだ」 「え?」 「俺もイケメンくんと一緒で、男もイけるんだわ」 「はっ!?」 後ろへ下がったらガタンっと椅子にぶつかった。 「違うっ、俺は、男が好きなんじゃなくて…」 「何だよ、久城だから好きって?」 「っ…」 「でもさっきの言い方だと、振られたんだろ?」 「……」 「しかも今なんて避けられてんじゃん」 最もなことを言われて、傷口を抉られた。 っていうか、やっぱり周りは気づいてるよね。 喧嘩してるとか、その程度に思われてるんだと思うけど。 「俺はただの喧嘩か何かと思ってたんだけど」 ここに居たくなくて、俺は机の隙間を抜けて教室を出ようとした。 「待てよ」 俺は鷹来くんの言葉を無視して走って教室を出た。 そして自分のクラスに戻る途中で、2時間目終了のチャイムが鳴った。

ともだちにシェアしよう!