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第75話
俺は目を見開いた。
祥馬は、俺のことをそんな風に周りに言っているの?
「さっき久城のこと好きって言わなければーとか言ってたし。ってかそもそもそんなに興味なかったんだけどさ、イケメンくんに」
近づいたことで、身長差が意外とあったことに気づく。
そして、俺のことを揶揄うような呼び方をした。
「それ聞いてちょっと興味湧いて来てたとこなんだ」
「え?」
「俺もイケメンくんと一緒で、男もイけるんだわ」
「はっ!?」
後ろへ下がったらガタンっと椅子にぶつかった。
「違うっ、俺は、男が好きなんじゃなくて…」
「何だよ、久城だから好きって?」
「っ…」
「でもさっきの言い方だと、振られたんだろ?」
「……」
「しかも今なんて避けられてんじゃん」
最もなことを言われて、傷口を抉られた。
っていうか、やっぱり周りは気づいてるよね。
喧嘩してるとか、その程度に思われてるんだと思うけど。
「俺はただの喧嘩か何かと思ってたんだけど」
ここに居たくなくて、俺は机の隙間を抜けて教室を出ようとした。
「待てよ」
俺は鷹来くんの言葉を無視して走って教室を出た。
そして自分のクラスに戻る途中で、2時間目終了のチャイムが鳴った。
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