78 / 260
第78話
「そっか」
「藤白も知ってるのかー。そういえば二人って幼馴染みなんだもんな」
佑嗣にも、勢いで相談したんだけどね。
すると突然佑嗣のスマホが音を立てた。
「…瑛翔ごめん、部長から呼び出されたから行ってくる」
「あ、うん、分かった」
「おい鷹来、瑛翔に変なことすんなよ?」
「ヘンナコトって?」
「チッ…瑛翔こんなやつ放って教室戻りな」
「酷いなぁ」
そんなやりとりを笑いながら見ていた。
意外とこの二人良いコンビになりそう。
そして佑嗣は屋上を出て行った。
「なぁ、聞いてもいい?」
「やだ」
「ひど…」
嫌な予感しかしない。
「神代ってカッコいいけど、可愛いとこもあんのな」
「は?何言ってんの」
「"やだ"とか言うし、言動が可愛い」
そんなことを言われて、俺は無言で立ち上がり屋上を出て階段を降り始めた。
「えっ、ちょ、神代っ」
鷹来くんは慌てて追いかけて来て、階段の途中で俺の腕を掴んだ。
「可愛いって言われるの嫌い?それだったら、ごめん」
「…別に、いいけど…」
素直に謝られて拍子抜けしてしまう。
「へぇー俺の次は珀音(はくと)か?」
階段の下から声が聞こえてきて、見下ろすとそこには祥馬が居た。
「っ…」
「あぁ、その前に佑嗣がいたか。結局お前は誰でもいいんだろ」
「……!」
「言い返しもしねぇの?」
「違っ…」
「まぁどうでもいいけどな」
それだけ言って、祥馬はどこかへ行ってしまった。
ともだちにシェアしよう!