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第96話
「や、…祥馬っ…」
「本当に嫌ならもっと本気で抵抗しろ。俺のこと蹴飛ばせよ」
っ…
そんなこと、出来るわけない。
「しないんだな?」
「…でき、ない」
「はっ、それだけ俺のこと好きなんだな。可哀想にな」
それは馬鹿にしてるの?それとも哀れんでる?
少しずつ、俺の中で何かが消えていく。
それは、この"想い"ではない。
「ぁッ…しょ、…まっ…んぅ」
緩々と扱かれ、身体は正直に反応を示す。
「ははっ、すっげぇ濡れてきた。気持ちいい?瑛翔」
「っ…やだ、…離してっ…」
ぐりぐりと先を押され、もうイく寸前だ。
押し寄せる快楽に頭と心が追いつかない。
こんなこと、望んでないのに。
「嫌とか言ってるけど、ほんとは嬉しいんだろ?」
「…っ俺は、祥馬とこんなことしたいわけじゃない…ッ」
俺の言葉に、祥馬の手の動きが止まった。
「愛のない行為が、こんなにも悲しいことだったなんて、知らなかったっ…。今までのこと、後悔しても仕切れない…」
「それ、どういう意味だよ」
「愛のない相手とセックスしても虚しいだけだってこと」
「瑛翔は虚しいセックスしてきたって?」
「そうだよ。だって、俺には相手からの愛はあっても、俺から相手への愛はなかったんだから…」
「あぁ…、ずっと俺のこと好きだったから」
「これなら、好きな相手を想って自慰してる方がマシだ…っあ、…やだ…イきたくないっ…んん」
話してる途中で、衣装のズボンを膝まで下げられた。
そしてラストスパートをかけるように動きが早くなる。
もう、我慢出来ない。
「あっ、…ああっ!、ん…」
祥馬の手の中へ、吐き出してしまった。
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