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第97話
「はぁ…ッ…はぁ…」
祥馬は俺の精液が付いた手を見つめている。
そして、
「舐めるか?」
俺は首を振った。
「いやだ、んぐっ…うぇ…」
無理やり口の中に指を突っ込まれ、味わったこともない苦味が口内に広がる。
「ぅ…やめ…んんっ!」
二本の指が口内を動き回る。
時々喉の奥に当たって、えずきそうになる。
「ははっ、瑛翔そんなエロい顔するんだな」
漸く指を抜き、その手で俺の頬に触れた。
もう、何もかもが最悪だ。
その時だった。
スマホが音を立てた。
さっきとは違う音だから、今度は祥馬のスマホだ。
汚れていない方の手で祥馬はポケットからスマホを取り出した。
祥馬は電話の相手を確認すると何の気なしに電話を取った。
「もしもし?どうした?」
どこか優しい声音に、電話の相手が誰なのかすぐに分かった。
そして話しながら、もう片方の手で俺の頬を撫で続ける。
「忘れ物?どこに?あー分かった探しとく…え?ちょっと待って、見てから行くから澪央は校門のところで待ってな」
そして電話を切った。
祥馬は何も言わずに俺の手首を拘束していたネクタイを取り、俺から離れ近くの床を見渡して、何かを拾った。
「澪央がピアス落として取りに来るから、もう行くな。じゃあな瑛翔」
俺の方を見てそれだけ言い、扉へ向かい鍵を開けると出て行ってしまった。
「やっぱり、俺は…」
彼女を取るのは当たり前、か…。
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