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第98話

そして音楽室の扉は閉められた。 衣装は脱がされたから、汚れてはいない。 ただ、今すぐシャワーを浴びたい。 全部洗い流したい。何もかも全て。 「この想いも汚れも全部、一緒に流せたらいいのに…」 音楽室と繋がっている準備室で顔を洗い、口をゆすいだ。 胸ポケットに入っていたハンカチで顔を拭って、服を整え、音楽室を出ようとした時、音楽室に人が入って来た。 「あ、まだいた!神代、お前久城と…」 俺を見た鷹来くんは目を見開いた。 「神代それ、どうしたんだよ」 「え?」 やばい、汚れ残ってたかな。 俺は自分の頬を触った。 「その衣装!首のとこ、血が滲んでる」 「え、あ!…やっ、大丈夫、大丈夫だからっ…」 まずい。 普通に衣装を直しちゃったから…まだ血が出てたんだ。 サッと衣装を押さえると今度はその手首を掴まれた。 「な、なに…」 傷を見られたくないと思って、なんとなくビクビクしてしまう。 「この跡は何?」 「っ…!!」 グイッと袖を捲られ、手首にはさっきまで縛られていた跡が露わになった。 やばい。もう無理だ。 「えっと、これは…」 「さっき、久城と廊下で会って、音楽室に…って何か言いかけて止めたから、ちょっと気になって来てみれば…」 俺の手首の跡を撫でながら鷹来くんは呟く。 そしてその手を急に離したかと思えば、あっという間に首元の衣装をはだけさせられた。 「あっ!ちょっ…」 「うわっ…お前これは酷い…」 鷹来くんは顔を歪めた。 「これ、歯形か?」 「っ…あの、」 「久城にやられたんだよな?」 「…ち、違っ」 「こんなことされても久城のこと庇うのかよ」 庇うなんて、そんなつもりは…

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