「自分で言ったのに驚いてるし」 「いや、だって、絶対やだって言われると思った」 「俺今、傷ついてるから」 「…そこに付け込んでいいわけ？」 そうやって聞いてくれるところがやっぱり優しい。 最初は無理やりキスしてきたくせに。 「っていうか、俺のこと興味あるとは言ってたけど、それって好きとは違うよね？」 「うーん、そうだね」 「ふはっ…正直過ぎ。そこは嘘でも今は好きって言うとこじゃない？」 「嘘は吐きたくないから」 「っ…ほんとさぁ、鷹来くん優しすぎじゃない？あの時と印象違い過ぎて困るんだけど」 今はこの優しさが胸にじんわりと響く。 祥馬のことは、きっと何をされても嫌いにはなれない。 でも、辛いだけの、この＂好き＂を消すことはできる？ 「神代…」 「でも、その方がいいのかもしれない」 「え？」 突然の言葉に鷹来くんは、意味が分からないという風に首を傾げた。 「鷹来くんは俺のこと好きじゃない、俺も鷹来くんのことはそういう意味で好きじゃない、って。どちらか一方がすごく好きで結ばれても、その先に幸せは待ってないんだよね」 俺はそういう恋愛をしてきた。 それを恋愛と呼べないかもしれないけど。 「始まった時から終わってるのと一緒。俺も、相手のことを好きになれたら良かったんだけど、好きになりたいって思ってる反面、どこがで祥馬以上に好きにはなれないって思ってたんだよね」 こんな救いようのない想い、早く捨ててしまいたい。