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第105話

「あ、神代おはよう。衣装変えたんだな」 更衣室を出るとちょうどそこに鷹来くんがやって来た。 「うん、汚しちゃったからね」 「あー…。薬はちゃんと塗った?」 「塗ったよ」 「まだ痛い?」 伸ばされた手は優しく、首元のマントに触れた。 「触ると痛いけど平気」 「そっか。今日神代って朝から何時まで担当?」 「今日は朝から12時まで」 「そっか、なら今日は一緒に回ろうよ。俺13時までだから。待ってる間にお腹空くかもしれないけど」 「ふっ、大丈夫だよ」 一言一言から鷹来くんの優しさが伝わって、心が温かくなる。 「瑛翔、鷹来、おはよ」 「あ、佑嗣おはよう」 「おはよー…なぁ藤白、今日は俺が神代借りていい?」 「いいよ。っていうか俺に許可取らなくていいから」 「そう?あ、藤白は今日何時までクラス担当?」 「12時だけど」 「それなら俺が終わるまで神代と一緒に居てやってよ」 鷹来くんは俺と佑嗣を交互に見てそう言った。 「いいけど」 「俺大丈夫だよ?」 「昨日の今日だし心配させて」 鷹来くんは笑って、俺の頭を撫でた。 すると周りに居た女子たちが黄色い声を上げた。 「最近瑛翔くん、珀音くんと仲良いよねー!」 「昨日手繋いでたって聞いたよ!」 「あ、それあたしも聞いた!」 「そう〜俺たち仲良しなんだ」 そう言って今度は肩を組まれた。 昨日も思ったけど、鷹来くんは空気の流し方っていうの?それが上手い。 だから、周りからの心無い言葉に俺が傷つくことも、変に噂になることもなさそう。

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