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第107話

「んっ…や、…んんッ」 頭の中で、佑嗣の名前を叫ぶ。 佑嗣っ…早く来て…! 「んん、ッ…」 掴まれていない手で祥馬の制服を掴み、なんとか離れさせようとするも意味はない。 そして、腰に回っていた手は首の傷パッドに触れ、肩、鎖骨、と下がってきて、胸の突起に触れた。 「っ!?んっ!や、だ…っ」 身を捩るも無駄な抵抗で、逃れることができない。 こんなこと……仕切りの向こうには沢山のお客さんがいるのに。 クラスメイトだって、いつここに入ってくるか分からないのに。 変わらず祥馬は胸の突起を指先で弄っている。 そんなところ、男の俺は何も感じない。 ペロリと唇を舐められ、口が離されたと思えば祥馬は俺を見て笑った。 「男でもちゃんとここ、感じるらしいぜ?」 そう言って祥馬は、ピンッとそこを弾いた。 身体がビクッと震えた。 「はは、感じた?」 「感じてないっ、もう離してっ」 すると祥馬は簡単に手を離した。 「俺、鷹来くんと付き合うことにしたから」 「珀音?ふっ、関係ないな」 関係ないってなに? 大体、佑嗣と付き合うのは許さないって言ってたくせに、鷹来くんと付き合うのは関係ないって? 俺が誰と付き合おうと、こうやって邪魔する気なの?

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