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第108話
「意味が分からない。何がしたいの?」
「壊したい」
「え…?」
何を?
意味が分からないで考えていると顎を掴まれる。
「な、んで…」
目が合うも、その表情から何かを読み取ることはできない。
壊したいって、どういう…
「んんぅッ…!」
そして噛み付くように重ねられた唇。
俺は顔を歪める。
なんとか顔を背けると唇は離れて、俺は祥馬を睨みつける。
「俺は今、鷹来くんと付き合ってるって言ったよね」
「だから関係ないって言っただろ?」
「お互いに付き合ってる人がいるのにこんなのおかしいよ」
祥馬は何の意図があって、俺にこんなことをしてくるの?
「祥馬は、俺のことが好きになったの?」
思っていたことが、無意識に、声に出ていた。
パッと口元を押さえた。
違う。こんなこと聞きたく…
「ははっ、なってないけど」
笑っているのに、その声音はとても冷たくて、俺の心を簡単に一瞬で冷やした。
次に来る言葉に、俺はどうしようもない気持ちになった。
「俺はお前のこと好きにならない。でも、俺のことを好きじゃなくなるのは気に入らない。一生叶わない想いに縛られてればいい」
俺の想いを、気持ち悪いと言ったくせに、忘れることを許してくれないなんて、そんな残酷なことある…?
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