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第115話
「来週から修学旅行だし、久城とは自由行動のグループ、一緒にならないようにしような」
「うん…」
鷹来くんと一緒に帰ってるのに、さっきの祥馬が頭から離れない。
「神代?」
「…」
「神代っ」
「…っ!な、なに?」
大きな声にびっくりして、隣を歩く鷹来くんを見上げた。
「大丈夫?」
「う、うん…ちょっと怖くて…。祥馬は、俺のこと恨んでるのかな?」
「神代のこと振ったのはアイツだろ。何で恨むんだよ…」
「じゃあ、祥馬はどうして…」
ぐるぐると頭の中に思い浮かぶのは嫌なことばかりで、恐怖が募っていく。
「神代」
「なに…んっ…!」
突然、物陰に引っ張られ、気づくと唇が重なっていた。
「んッ…んぅ、」
最初は触れるだけだった唇を舌で割られ、口内へと入ってくる。
深くなっていくキスにゾクゾクする。
「神代、何も心配しなくていい。俺が側にいるから、だからそんなに怯えないで」
ふわりと優しく俺の頭を撫でてくれる鷹来くん。
「大丈夫だから…」
そして俺を優しく包み込んでくれる。
さっきまでドキドキしていた心臓は、違う意味でドキドキし始めた気がした。
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