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第116話
大丈夫だと言ったのに、鷹来くんは俺を家まで送ってくれた。
この日の夜はなかなか寝付けなくて、起きたのは13時を回った頃だった。
起きてからも何もする気にはなれなくて、ベッドに横になったままぼーっと天井を見上げた。
「…祥馬は何がしたいんだろう…俺にどうして欲しいの…?」
呟いた言葉は誰に届くことなく消えていく。
溜め息を吐いたその時、ベッドの脇に置いていたスマホが音を立てた。
祥馬からだったらどうしよう、なんて不安になりながら手に取るとそこに映っていた名前は"鷹来珀音"だった。
「もしもし」
『もしもし?おはよー!』
「おはよって…もう午後だけど」
『俺がさっき起きたから!そんなことより神代、明日空いてる?』
「明日?特に何もないけど」
『お!じゃあデートしよ、デート!』
起きたばかりだというのに、こんなに元気なのか…
『おーい!聞いてるー?』
「え、あぁ、うん。どこ行くの?」
『そうだなぁ…あ!修学旅行用にカバン欲しいんだよ!ってことで買い物行こう!』
「いいよ」
『じゃあ駅前に12時に待ち合わせで』
「うん、分かった」
『じゃーな!また明日!』
「うん、また明日」
そして電話は切れた。
なんか怒涛の勢いでぽんぽん決まったなぁ。
思わず笑みがこぼれた。
「鷹来くんらしいな…」
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