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第121話
「神代って今までどんなキスして来たの?」
「…はぁ?」
「いや、俺とのキスでこんなになるのに」
「…っ、!」
するりと腰を撫でられた。
「だって、そ、んなのっ…鷹来くんがっ…」
「えー?俺が何ー?」
ニヤニヤしながら俺を見つめてきて、俺は顔を背けた。
「何でもないっ」
鷹来くんの腕の中から、くぐって抜け出した。
「待ってよ」
パシッと手を掴まれ、そのままの勢いで引かれる。
「わっ…!」
ぼすんと、鷹来くんの胸へ飛び込む形になって、そしてすぐに腰に両手が回された。
「捕まえた」
「っ…!」
悪戯っぽく笑う鷹来くんに、心臓が音を立てた。
「は、離して」
「だめー。離したら神代、逃げちゃうでしょ?」
「だって…」
「神代ってすぐ"だって"って言うよな」
「だ、…っ……っ…」
「ふっ、かわいいなぁもう…」
腰に回された手にきゅっと力が込められた。
「っ…」
「あと、結構照れ屋」
「っ…もう、言わなくていいからっ…」
ぽすっと鷹来くんの肩に顔を隠すように凭れた。
耳元でふっと、笑ったのが分かった。
そして、ちゅっと耳にキスされた。
「そろそろ帰ろっか」
「うん」
「その前にもっかい」
「え?…っんんぅ!」
そして深いキスをもう一度交わしてから、俺たちは帰路へ着いた。
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