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第123話
空港に着いてからもクラスごとにバスで移動だった。
最初に向かったのは定番の首里城で、入場すれば、クラス毎に纏まっての移動で、ここでようやく祥馬と離れられた。
「神代、バス大丈夫だった?」
「大丈夫だよ」
「本当に?席変わってもらおうか?」
「平気だって。鷹来くんって心配性?」
「瑛翔、そう言ってやるなよ。鷹来だって心配なんだよ」
一緒に歩いていた佑嗣が言うと、鷹来くんが佑嗣を見た。
「俺だって、って言い方失礼じゃない?俺は神代のこと大切にしたいだけだし」
「それは十分分かってる」
そんな話を俺の隣でしないで欲しい。
普通に恥ずかしい。
この日はクラス毎で那覇市近くを見て回り、宿泊するホテルへ行った。
ホテルの部屋は鷹来くんと一緒で、この日は2人とも疲れててすぐに寝てしまった。
そしていよいよ自由行動の日となった。
自由行動と言っても、沖縄は広く、事前にグループ毎にコースを選択して、バスでの移動となる。
俺はと言うと…
「すごい…」
美ら海水族館コースを選択していた。
ふと、椎河さん達と行った水族館を思い出して、そして祥馬と桐崎さんの姿が頭に浮かんだ。
「神代ー?どうかした?」
「えっ…あ、いや、すごくて感動してた」
「ぷっ…かわいい」
「は?俺のこと言ってる?」
「うん」
「俺のどこがかわいいの…」
呆れたように鷹来くんを見上げると、
「もう全部」
なんて笑顔で返してきて、思わず顔を逸らした。
「はいはい、イチャイチャしてないで次行くぞ。ってかお前らが遅いから宮内たち先に行っちゃったし」
グループは5人1組で、俺と鷹来くんと佑嗣、それに宮内(みやうち)くんと渡辺(わたなべ)くんの5人だ。
宮内くんが水族館コースがいいと強く希望して、このコースを選択した。
きっと水族館が好きなんだろうなぁ。
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