129 / 260
第129話
「何?何が同じ?なぁ…」
「…なんでも」
「神代、教えて?」
両頬を掴まれて、顔を固定される。
「…っ……」
俺が首を緩く振ると、鷹来くんは眉を下げて切なそうに顔を歪めた。
「久城?」
「っ…ち、ちが…」
「…神代は嘘が下手だよ」
「……鷹来くん、」
「何が同じだった?もうやらないから、教えて?」
真剣な表情をするから、俺はなんとも言えない気持ちになる。
「あ、の…」
「うん」
「キスの後、…唇、舐めるのが…」
「ふぅん…もうしないから」
ちゅっと、音を立てて軽いキスをされた。
「神代、キスして」
「…っ」
「な…?」
キスなんて、彼女がいる時に何度もしてるのに、何故か鷹来くん相手には緊張してしまう。
「目…瞑って」
「ふっ、かわいー」
「…しないよ?」
「ごめんごめんっ!はいっ」
そう言って鷹来くんは少し屈んで目を閉じた。
…う、微妙に届かない。
ぐっと背伸びをして、鷹来くんの首に腕を回しこちらへ引き寄せて唇を合わせた。
そして、少し開いた口に舌を差し込む。
「ん…」
舌を捉え、絡ませる。
俺が主導権を握っていたはずなのに、いつのまにか俺が翻弄されていた。
「はぁ…神代、えっろいな…」
「なっ…」
「ちょっと抜いてくるから先に寝ててー」
そう言って鷹来くんはトイレへと消えて行った。
ともだちにシェアしよう!