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第132話
部屋の中に入ると、先に入っていた祥馬が振り返り俺を見つめてきたから、ふいっと顔を逸らした。
顔を逸らしたその瞬間、祥馬の手が俺の方に伸びて来て、服の襟を掴んだ。
「!…何っ…?」
「これ…」
「……っ?」
祥馬の視線は俺の首の方に向いている。
なに…?
「これなんだよ…こんなの一昨日はなかった。お前、珀音とヤった?」
「っ!?や、」
「おいっ」
ぐいっと引かれ、首元が締まる。
「…っ、」
祥馬が何を言ってるのか意味が分からない。
「なんだよ、このキスマーク。珀音とヤったのかって聞いてんだよ!」
突然大きな声を出すから、驚いて肩が跳ねた。
「ち、ちが…、知らないっ…、祥馬ッ…苦しっ……ぅ…」
キスマークなんて、知らない。
いつ?
そしてふと昨日のやりとりを思い出した。
ーーーーーーー
"ん?何かついてた?"
"うん?うん、俺の証"
"え?"
"…何でもない"
ーーーーーーー
俺の耳の近くに触れて言った俺の証って、キスマークのことだったんだ。
いつの間に?
それになんで、俺の証だなんて……
そんなことを考えていたら祥馬が耳に顔を寄せてきた。
「何、思い出した?」
「っ、や、ヤってない!」
バッと咄嗟に離れる。
「…そうだよな。だって言ってあるし」
「え?」
なにを?
「でもキスマーク付けるなんてな、あいつ…」
「なに…?」
「しかもそんな目立たないところに…」
俺を見つめる目と目が合った。
心臓が嫌な音を立て始める。
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