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第136話
「あー…何も持ってきてねぇな…」
呟く祥馬の声が遠くに聞こえた気がした。
息を整えている途中に、口の中へ祥馬の指が押し込まれて、無理やり口を開かされる。
「んぐっ…」
そして口の中に祥馬のものが入れられた。
「噛むなよ?」
「っん」
額を押さえつけられ、祥馬が前後運動を始める。
「ん、っ…ゔ…っ!」
喉奥を突かれる度に、吐きそうになる。
「神代…っ」
「おっと、珀音。それ以上近づくなよ」
手のひらを鷹来くんの方へ向け、ストップをかけた。
鷹来くんの表情はここからは見えないけれど、止まったのは分かった。
やっぱり、俺のことを助けてはくれない。
もう、十分だった。
「ん"…ぅ…ん!」
俺の唾液と祥馬の先走りが混ざり、ぐちゅぐちゅと水音が部屋に響く。
「はっ…エロいなぁ、瑛翔」
頬を撫でられる。
見上げると祥馬の顔は見たこともない欲情した表情をしていた。
どうして…
そして、
「んぐっ…!」
喉の奥へ放たれた熱いもの。
吐き出したいのに、口と鼻を押さえつけられる。
「飲めよ」
「っ……んくッ」
苦しくて、苦しくて、苦しくて。
むせ返りそうになりながらなんとか飲み込むと、祥馬は俺を見下ろし満足気に微笑んだ。
「はぁ…はぁっ…」
「今日は終わりにしてやるよ。帰ったら、ちゃんとセックスしような?」
祥馬は俺の頬をするりと撫で、俺の唇を舐めてから、ベッドから降りて服を整えた。
そして、鷹来くんには声を掛けずそのまま部屋を出て行った。
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