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第140話

朝一で熱いお湯でシャワーを浴びた。 浴室の鏡に映る俺は情けない顔をしている。 「バスは祥馬が隣だし、回るグループは鷹来くんが一緒だしどうすれば…」 お風呂から出ると、佑嗣がもう起きていた。 「あ、ごめん…うるさくて起きちゃった?」 「いや、いつもこのくらいの時間に起きるから」 「そっか」 集合は9時で、まだ7時だ。 「瑛翔、ちゃんと髪乾かしなよ」 「うん、分かってるよ」 「とか言っていつも適当だよな」 「そんなことないよ」 俺は洗面台に行き、髪をドライヤーで乾かし始める。 「〜……?」 佑嗣が俺に向かって何か言っていたけど、ドライヤーの音で見事に聞こえない。 一度ドライヤーを止める。 「何ー?」 「瑛翔の荷物、部屋に取りに行かないとだよなって…」 「あ…そっか。忘れてた…」 あの部屋に、取りに行かないと行けないのか… いや、でも特に広げてなかったから纏めるものはない。 鞄だけ持ってすぐに出てくれば… 「俺が行こうか?」 なんて佑嗣が申し出てくれた。 「……ごめん、お願いしていい?」 「いいよ。纏めてある?」 「うん、全部纏めてあるから、鞄だけ持ってきてもらえれば…」 「了解。じゃあもう行ってくるわ」 「え、早くない?」 「叩き起こす」 鬼だ… そして俺は同室者の荷物を持って出て行く佑嗣を見送った。 何から何まで甘えてしまって申し訳ない…。

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