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第143話
「強いふりなんてしなくていい。辛い時は辛いって言っていいんだよ」
「…っ…」
溢れそうになる涙を必死に堪える。
「よしよし」
「っ…」
優しく頭を撫でてくれる。
暖かくて、掌から優しさを感じて、堪えた涙が頬を伝った。
集合時間になれば2人で部屋を出た。
集合場所にはクラス別で纏まっていて、背の高い鷹来くんをすぐに見つけてしまう。
目が合ったけれどすぐに逸らしてしまった。
クラスの点呼が終われば次々とバスに乗り込む。
「おはよう、瑛翔」
「…」
バスが走り出して、祥馬が話しかけてきたけれど、顔を逸らして窓の外を眺める。
今日はホテルを出て、那覇市に向かう。
そして飛行機の時間までグループでの自由時間だ。
祥馬の言葉を聞かないようにしていたけれど、聞こえてきた言葉に苛立ちを覚えた。
「なぁ、昨日はあの後珀音にキスでもしてもらって慰めてもらったのか?」
なにそれ…
振り返ると祥馬は何でもないような顔をしている。
「…慰めるって言うってことは酷いことをしてるって思ってるんだよね?慰めてもらわないといけないようなことしたって自覚してるんだ?」
「何だよ急に…」
「あの状況で、慰めてもらおうなんて俺が思うと思ってんの?祥馬って本当に馬鹿なんだね」
「はあ?」
「もうなにも話したくない」
こんな最低なやつ、早く忘れなきゃ…。
顔を逸らして再び窓の外へ視線を移した。
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