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第146話

翌日、佑嗣が家まで迎えに来てくれた。 「おはよう瑛翔。ちゃんと寝た?」 「おはよ。なんか色々考えちゃって…」 「そう…うん、でもそんな顔してる」 「まじか…」 「来週からテストだけど」 そうだ… 完全に忘れていた。 「瑛翔なら余裕でしょ」 「どうだろ」 最近勉強に手がつけられてない。 学校に着くと鷹来くんはまだ来ていなくて、祥馬は朝練で教室には居らず、安心した。 こんな風に、気にし続けなきゃいけないのかと思うと憂鬱になる。 始業のチャイムが鳴っても鷹来くんはまだ来ていない。 祥馬はチャイムが鳴る直前に教室へ入って来た。 昼休みになって、俺は飲み物を買いに自販機へ向かうその途中で、鷹来くんを見かけた。 あ、来たんだ… そして、あの空き教室へ入って行った。 祥馬と一緒に。 嫌な想像ばかりしてしまう。 2人は、やっぱり繋がっていたんだ。 絶対聞かない方がいいのに、俺は扉の前に立つ。 「〜だから、もう……は、…〜ない」 「は?…んなの、〜…ないだろっ!…」 「…〜…っ…神代とは、もう付き合えない」 「……っ!!」 なんて話してるか、ハッキリとは聞こえなかったけど、でもちゃんと聞こえた。 俺とは付き合えないって… やっぱり、俺のことを騙してたのか… でも、何で祥馬は怒って… あ、そうか…俺の見張りがいなくなるから? それなら辻褄も合う。 それ以上聞いていられなくて、俺は走って教室へ戻った。

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