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第147話

「あれ、飲み物買いに行ったんじゃなかった?」 手ぶらで戻って来た俺に、佑嗣は不思議そうにくびをかしげた。 「え、あー…飲みたいの売り切れてたから、、」 「……そっか。それは残念だったな」 佑嗣は多分気づいてる。 それでも何も聞かないし、言わない。 そんな気遣いに何度救われてるか分からない。 それから昼休みが終わる直前に、祥馬と鷹来くんは戻って来た。 そう、一緒に戻って来たのだ。 あぁ、もう… 午後の授業が終わり、放課後になると俺はすぐに席を立った。 「じゃあね佑嗣。部活頑張って」 「あぁ。瑛翔も気をつけて帰りなよ」 「うん」 佑嗣と別れて、昇降口に向かってる時に声を掛けられる。 「神代っ!」 「っ…」 いやだ。 立ち止まるけど、振り返ることが出来ない。 「神代、修学旅行終わったよ。俺の話…」 「あのさっ、」 パッと振り返る。 目は伏せて、目が合わないように口を開く。 「来週からテストだし、また今度でいい?俺、勉強したいんだよね」 「…っ、少しでいいから」 「ごめん…」 「神代…」 鷹来くんの次の言葉を待たずに、俺は昇降口を後にした。 「…ふっ、感じ悪いな俺…」 笑ったはずなのに、心は冷たかった。 このままでいいはずがない。 ちゃんと、終わりにしないと。 でも、 「いやだよ…ッ…」

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