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第149話
それから、テストが始まってあっという間に一週間が経った。
勉強をしてる間はモヤモヤ色々考えないで済んだ。
いつも以上に集中できた。
集中できて、
「瑛翔、学年一位って初めてじゃない?」
「はは…俺も頑張れば一位獲れるんだな…」
廊下に貼り出された順位表を見て苦笑した。
「瑛翔くんすごいね!一位なんて!」
「今度勉強教えてよ〜」
「んー、今度ね」
女の子たちに笑顔で答えてから、俺は教室へ向かった。
今日は終業式で、それが終わってSHRが終われば冬休みが始まる。
俺は鷹来くんと、何も話はしていない。
俺が、何度も声を掛けてくる鷹来くんを、何かと理由をつけて断り、避け続けたから。
「…神代、今から時間…」
「ごめん、今日は用事があって急いでるからまた今度ね」
「神代っ…!」
呼びかけも無視して、俺はそそくさと学校を出た。
こんな態度なのに、佑嗣は俺に何も言わなかった。
そして、修学旅行であんなことを言ってきた祥馬も絡んでは来なかった。
整理できたら、って佑嗣は俺に言ったけど、整理したら終わっちゃうんでしょ?
馬鹿みたいだな。
こんな悪足掻きみたいなこと。
もう、このまま、鷹来くんは俺に声を掛けてくれなくなる日がくるのかな。
そうしたら、終わり?
いや、そもそも始まってない?
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