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第160話
Another story side-鷹来珀音-
「鷹来くんのこと、全然好きになれなかったって言えたら良かったのに…」
その言葉に目を見開いた。
「っ!…神代、聞いて…」
「何も聞きたくない」
話そうとするも、神代は聞く気はないようで、言葉を遮られる。
「俺はっ」
「聞きたくないってば!」
枕を投げつけられた。
そして俺の問いかけに答えることなく、神代は部屋を出て行ってしまった。
その後ろ姿を追うことはできなかった。
この時、すぐに追いかけられてたら、何か変わっていたのかな。
修学旅行最終日の朝、藤白が部屋へやって来た。
俺は寝付けなくて、インターホンが鳴った時には既に起きていた。
「藤白…」
「瑛翔の荷物取りに来た」
「あぁ、うん…」
俺は藤白を部屋に入れた。
本来は藤白の部屋で寝るはずだったクラスメイトは、まだ眠っていて、起きる気配はない。
「これ…」
「あぁ。…鷹来」
「何…?」
「ちょっと話せるか?」
「…」
俺は頷いて、二人で部屋を出た。
自販機のある場所まで来れば、二人で並んで椅子に腰かけた。
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