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第163話

Another story side-鷹来珀音- ケリがついたとは言い難いかもしれないけど、俺の中ではもう終わった。 やっと。 これで、神代に話を聞いてもらえなきゃ意味なんてないけど。 そして放課後、早速俺は神代に声をかけた。 修学旅行は終わったのに、神代は… 「来週からテストだし、また今度でいい?俺、勉強したいんだよね」 そう言うと神代は足早に去ってしまった。 もしかしたら、って思ってたけど、神代は本当に俺とはもう話なんてしたくないのかもしれない。 もう、俺たちは終わったことになってる? それから、神代に何度話しかけても「また今度」と言われ続けた。 修学旅行から帰って来たばかりの頃は、もうすぐテストだからと断られた。 少しだけでいいからと、何度も話しかけたが、返ってくる言葉はいつも同じで、 "また今度" でも、そのまた今度が来る気配はない。 せっかく久城と話を付けたのに、これではどうしようもない。 テストが終わればすぐに冬休みに入ってしまった。 終業式の日にも声をかけたが、用事があるとさっさと帰ってしまった。 冬休み中にメッセージを送っても、祖父母の家に帰省するからまた今度と言われ、その後も何度かメッセージを送ったけど断られ続けた。 そして年が明けた。 もう、俺の話なんて聞きたくない? ここまで拒否されるんだから、もう無理なんだろう。 だから、今日で声を掛けるのは最後にしようと思った。 今日、声を掛けて、それでも断られたら、もう終わりにしよう。 そう決意して、声を掛けた。 「神代っ!」 廊下を歩いている神代に後ろから声を掛けた。 「っ…鷹来、くん…」 「話をっ…」 「…なんで?」 「えっ?」 「何で、こんなに拒否してるのに、話しかけてくるの?」 いつもとは違う反応が返ってきた。 「っ、それは、俺が話したいからっ…」 「……俺、忙しいから、また「また今度?いつになったらその"今度"は来る?」 "また今度"と、何度聞いたか分からない言葉を言おうとしたから、俺はそれを遮って言葉を被せた。 今までだったら、声を掛けて何かと理由をつけてまた今度と断るだけだった。 でも、今日は違ったから。 「…っ」 「お願いだから…、話を聞いて。聞いて、俺のこと嫌いになってもいいから。聞いたら俺のこと切り捨てていいから…っ」 「……分かった」 ようやく聞いてくれる気になった神代と、いつもの空き教室へ向かった。

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