164 / 260

第164話

「ちゃんと守れなくてごめん」 鷹来くんの話を聞き終えて、俺は首を振った。 「神代、ごめん…泣かないで」 俺の方へ伸びてきた手は、俺には触れずギュッと握られて、そのまま降ろされた。 「っ……鷹来くんは馬鹿だよ…」 「え?」 「でも、俺はもっと馬鹿だ…」 手の甲で涙を拭った。 「話、聞かなくてごめん。怖かったんだ。鷹来くんから、本当の事を聞くのが…。話してくれて、ありがとう…」 最初こそは、祥馬に言われて、行動を起こしていた。 でも、途中からはちゃんと、好きになってくれてた。 俺と同じで。 きっかけは、祥馬だったのかもしれない。 それでも、ちゃんと好きになってくれた。 俺が傷つかないように、祥馬に傷つけられないように、守ってくれてた。 「ううん。聞いてくれてありがとう。話せただけで十分だよ。傷つけてごめん…」 「俺も、話したい」 「…うん」 鷹来くんは小さく頷いた。 その表情はとても不安そうで、自信がなさそうで、 ここまで弱くしてしまったのは、俺のせいなのだろうか。 きっと、今から言う俺の言葉を、鷹来くんは予想もしてないんだろうな。 「俺、鷹来くんのことが好きだよ」

ともだちにシェアしよう!