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第164話
「ちゃんと守れなくてごめん」
鷹来くんの話を聞き終えて、俺は首を振った。
「神代、ごめん…泣かないで」
俺の方へ伸びてきた手は、俺には触れずギュッと握られて、そのまま降ろされた。
「っ……鷹来くんは馬鹿だよ…」
「え?」
「でも、俺はもっと馬鹿だ…」
手の甲で涙を拭った。
「話、聞かなくてごめん。怖かったんだ。鷹来くんから、本当の事を聞くのが…。話してくれて、ありがとう…」
最初こそは、祥馬に言われて、行動を起こしていた。
でも、途中からはちゃんと、好きになってくれてた。
俺と同じで。
きっかけは、祥馬だったのかもしれない。
それでも、ちゃんと好きになってくれた。
俺が傷つかないように、祥馬に傷つけられないように、守ってくれてた。
「ううん。聞いてくれてありがとう。話せただけで十分だよ。傷つけてごめん…」
「俺も、話したい」
「…うん」
鷹来くんは小さく頷いた。
その表情はとても不安そうで、自信がなさそうで、
ここまで弱くしてしまったのは、俺のせいなのだろうか。
きっと、今から言う俺の言葉を、鷹来くんは予想もしてないんだろうな。
「俺、鷹来くんのことが好きだよ」
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