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第165話
鷹来くんは今までに見たこともないくらいに間抜け面をしていた。
「は?…えっ?な、に…えっ?」
「…ふはっ、鷹来くん顔やば…」
俺は思わず噴き出す。
「えっ?待って…どういうこと?」
「俺は、鷹来くんのこと好きになってる。だから、お試しじゃなくて、ちゃんと付き合って欲しい。別れたくない」
「っ…かじ、ろ…っ」
鷹来くんは涙目になって、俺の腕を引き、力強く抱きしめた。
数ヶ月振りの温もりは少し懐かしくて、心臓がギュッとして、想いが溢れて、体も心も温かくなった。
「ねぇ、鷹来くんは?」
「っ…俺も、好きだよ…ッ…離したくない」
抱きしめる腕に力が込められた。
「鷹来くんって意外と泣き虫なんだね?」
「…神代もでしょ」
「ふっ、そうだね。お揃いだね」
「あーもうっ…ほんと無理…好き…」
耳元で呟かれれば恥ずかしくて、顔が熱くなる。
「神代、耳まで真っ赤」
「だって…それは鷹来くんがっ」
「うん、俺のせい。嬉しい…」
甘い。
言葉も、声音も、全部が。
「俺、鷹来くんのこと、好きになれて良かった…」
「っ…うん」
そう言ったら、頷いた鷹来くんの声は震えていた。
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