「んっ…待っ…」 「無理、待てない」 唇が優しく重なる。 キスをするのも修学旅行振りで、なんだかすごくドキドキする。 「ん、…っんんぅ…」 貪るように何度も、何度も角度を変えては繰り返されるキス。 「ちょ、たかんむっ…ん」 まともに話もできない。 髪に差し込まれていた手が耳に移動してくる。 ビクッと肩が揺れる。 「やっ…んんっ」 トンッと鷹来くんの肩を押すと、ようやく離れた。 「ちょっと、がっつき過ぎじゃない？」 「あー、ごめん。もうずっと、神代に触りたくて仕方なかったからつい…」 「っ…！よくもまぁ、そんなこと恥ずかしげもなく言えるね？」 「もう、俺は何も隠さないから」 真剣な表情でそう言われれば顔が一気に熱くなる。 「俺は…、ずっと隠してきた」 呟いた言葉は、ちゃんと鷹来くんの耳に届いていて、切なそうに眉を下げた。 「言うつもりなんて、一生なかった」 「神代…」 「鷹来くんには、話してなかったよね」 「神代、でもそれは今度でいい。そんな辛そうな顔しないで。今は、笑っててよ」 するりと頬を撫でられて、パッと視線を鷹来くんに向けると、目が合って、顔が近づく。 また、キスされると思ったら、 「っ…」 「ここ、すごいシワ…」 眉間に人差し指が当てられ、マッサージするかのようにぐりぐりされた。 「なに、キスされると思って期待した？」 「…むかつく」 悪戯っぽく笑う鷹来くんに悔しくて、鷹来くんのネクタイを掴むと無理やり自分の方へ引っ張り、唇を合わせた。 「ん……ばーか！」 「あははっ、ほんとは神代って結構口悪いの？」 楽しそうに笑う鷹来くんに、つられるように俺も自然と笑った。