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第167話
「そう、良かった」
翌朝、迎えに来てくれた佑嗣に鷹来くんのことを報告すると、笑ってそう言ってくれた。
そして学校の最寄り駅に着くと、そこには鷹来くんが居た。
「あ、おはよ神代。藤白も」
「おはよう。どうしたの?」
「え、あー…そりゃ、なぁ?」
「瑛翔、どうしたのはないだろ」
「え、なに、何で?」
意味が分からないでいると、佑嗣は溜め息を吐いた。
「瑛翔は変なところ鈍感だよな。じゃあ俺は先行くから」
「えっ?佑嗣?」
どういう意味?
「あーごめん。連絡しとけば良かった」
「何で謝るの?連絡って」
全然意味が分からなくて首を傾げる。
すると鷹来くんはふっと目を細めて笑って、俺の耳元へ口を寄せた。
「恋人と少しでも一緒に居たいって思うのは当然のことでしょ?」
ぼっと顔が熱くなる。
「ははっ、神代ってからかい甲斐あるなぁ」
「からっ…からかったの!?」
「うん。本当のこと言っただけだけどな?」
「っっ!!」
「ふははっ、かわいー」
ポンと頭を撫でられる。
待って。
鷹来くんってこんな感じだったっけ?
それに、鷹来くんにかわいいって言われるの、前は嫌だったのに今は…
「ほら、早く行こう。遅刻するよ」
そう言って歩き出す鷹来くんの後を追った。
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