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第174話

なんとか鷹来くんの家っぽいものが見えて来たと思ったら、人影が見えた。 外の門に寄りかかっていたのは、数日振りに見る鷹来くんの姿だった。 顔を見ただけで、少し安心できた。 「良かった、無事辿り着けて」 「俺方向音痴じゃないよ?」 「ふっ…ほら、上がって。寒いでしょ」 俺の手を取った鷹来くんの手もすごく冷たかった。 「中で待ってれば良かったのに…冷たくなってる…」 鷹来くんは早く会いたかったからって笑って、俺を中へ入れてくれた。 そのまま鷹来くんの部屋へ案内される。 「飲み物持ってくるから待ってて」 そう言って鷹来くんは廊下を戻って行った。 意外と物は少なめで、整理された部屋だった。 すぐにマグカップを二つ持って鷹来くんは戻って来た。 「はい、カフェオレ」 「ありがとう」 マグカップを受け取り一口飲む。 冷えていた手も温かくなっていく。 マグカップを受け取るときに気になった、鷹来くんの手。 「鷹来くん、その手…どう?」 「あー…うん、大丈夫だよ。俺、人殴ったの初めてだったから、加減とかも分かんなかったけど、3発は殴り過ぎだって先生に言われた」 「…そっか」 「うん、それで俺の方が久城より謹慎期間長いんだよ。1発にしておけば同じ期間で済んだのかな…ほんと明日から心配」 ぎゅっと俺を鷹来くんは抱きしめた。 そして状態のまま鷹来くんに問いかけられる。 「…それで、どうした?何かあった?」 「あ、えっと、…」 「言いづらいこと?」 「ちょっと待って…」 ポケットからスマホを取り出し、祥馬とのメッセージ画面を開いて鷹来くんに見せた。

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