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第180話

どんなに来て欲しくなくても、俺の意思とは関係なしに朝は必ずやって来る訳で。 「はぁ…」 憂鬱になりながら、いつもより少し早く行きたいと佑嗣に伝えてあったから、佑嗣も俺に合わせて早く来てくれた。 「おはよ瑛翔。早く行きたいなんて、なんかあった?」 「おはよう。うん…そのことでちょっと佑嗣にも相談が…」 「も ってことは、鷹来にはもう話したんだ?」 「うん」 頷くと、佑嗣は嬉しそうに笑った。 「良かった、上手くやってるみたいで」 佑嗣にも迷惑をかけたし、これからまた迷惑をかけることになるかもしれない。 今日だって、俺の我儘で早く来てもらったし… それなのに、 「おはよう瑛翔」 「っ…!」 学校の最寄り駅に着くと祥馬がいた。 俺は思わず後退りした。 俺の反応を見てか、佑嗣も眉根を寄せて祥馬を見る。 「佑嗣も一緒なんだな?」 「祥馬、今日から戻ってくるんだったな。怪我はもう平気なのか?」 「あぁ、大分引いたから…」 昨日は暗くてあまり見えなかったけど、鷹来くんに殴られた頬はうっすら赤紫色になっている所があるが、もう傷は大丈夫そうだった。 「で?朝練でもないのに早いの珍しいな?」 「あぁ、瑛翔を待ってた」 祥馬に視線を向けられて、体が強張る。 「な、んで…?」 大丈夫。今は佑嗣もいるし、周りには人も多い。 「俺は納得してないからな?」 「っ俺は、」 「…佑嗣が居るなら俺は先行くわ。後でな瑛翔」 先に歩いて行った背中を見ていたら、佑嗣が隣から声をかけて来た。 「…相談ってもしかして祥馬のこと?」 さすが、勘が鋭い。

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