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第182話
佑嗣には敵わない。
「あの、…実は」
昨日鷹来くんに会って、その後の帰り道で祥馬とのことを佑嗣に話した。
「ストーカーかよ…あいつ…」
「ごめん、こんな話…」
「だから謝るなって。今朝祥馬が言ってた納得してないって、その、関わるなってことも言ってるんじゃない?」
「そう、かな…」
「とにかく、一人で行動するのは絶対にやめよう。今の祥馬は何するか分からない」
予鈴が鳴って、俺たちは教室へ向かった。
扉を開けると当然祥馬は既に席に着いていて、後ろを通り過ぎようとした時、するりと手を撫でられた。
「っ!?」
「瑛翔?どうした?」
「な、んでもないっ…」
そそくさと自分の席に着いた。
今までそんなことされたことなくて、油断していた。
後ろの扉から入るのはやめよう。
少し遠くなるけど、次から前の扉から入ろう。
そうすれば、祥馬の席の近くを通ることもない。
それから放課後まで、俺が一人になることはなかった。
「ねぇ、宮内くんって今日部活ある?」
「今日はないけど、どうかした?」
帰り支度をし始めていた宮内くんに声をかけた。
「それなら一緒に帰らない?電車通学だったよね」
すると、宮内くんの隣の女の子がこちらへ顔を向けた。
「えー私も電車だよ!瑛翔くん、私も一緒に帰っていい?」
「うん、いいよ」
「やったー!」
「えっ、なになに?私も一緒に帰りたーい!」
と、続々と声をかけられて結局クラスメイト5人というそこそこな人数で帰ることになった。
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