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第183話
「神代と一緒に帰るの初めてだな」
「そうだね」
「最近は鷹来と帰ってたもんなー!連絡取ってんの?」
「あ、うん」
「そっかー」
俺たちのそんな会話を聞いてか、後ろを歩いていた女の子が声をかけてきた。
「ねぇねぇ、噂になってたけど、鷹来くんが久城くんに怪我させたんでしょ?」
「あ、私も聞いた〜。鷹来くんってそんな人だったんだねー」
「怖いね〜」
「そんなことないよ。鷹来くんは優しい人だよ」
「あ…ごめんね、瑛翔くん仲良いのにこんなこと言って…」
「ただの噂だもんね」
俺は普通に話したつもりだったけど、女の子たちは気まずそうに目を逸らした。
「でも久城のほっぺ痣っぽくなってたよなー!あれって鷹来がやったのかなー」
宮内くんは空気が読めないのか…。
「あ、ねぇ!せっかくだしちょっと寄り道して帰ろうよ!」
とその場の空気を変えようとしたのか、一人の女の子がそう言ってゲームセンターを指差した。
「お、いいじゃん!行こう行こう!」
「瑛翔くんも、行こ?」
「あ、うん」
ゲームセンターなんて、久し振りだ。
部活帰りなど、たまに行っていた。
中に入ると大音量で流れる音楽。
「あ、神代あれやろ!」
宮内くんが指差したのはレース型のゲームで、俺の返事を聞く前にさっさと椅子に座って準備し始めた。
それからみんなで一時間近く遊んで、帰ることになった。
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