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第185話
ガチャリと扉を開けた瞬間、飛び込んできたのは、
「あぁ、お帰り。今日も遅かったな?また珀音のとこ行ってたのか?」
「…っな、んで、…っ」
「昨日と同じとこで待ってても良かったんだけど、お前宮内とかと帰るって言ってたし、こっちの方が確実に会えるだろ?」
部屋の中央に座っている祥馬だった。
「…帰って」
「は?」
「帰ってよ」
「嫌に決まってんだろ」
そうだ…
中学の時はよく一緒に遊んでいたし、家にだって何度も来たことがあった。
当然、母さんとも面識があった。
「何しに来たの?」
「話しに、だろ」
「祥馬と話すことなんてない」
「とりあえず荷物置いたら?」
出来ることなら近づきたくない。
でも、帰るつもりはないみたいだし、いつまでもここに立ってるわけにもいかない。
俺は意を決して中へと足を踏み入れ、扉を閉めた。
大丈夫。
ここは俺の家だ。
声を出せば、家族が来る。
そんなところで、何かしてくるなんてことは、きっとないだろう。
「話ってなに?」
俺は祥馬から少し離れた椅子に座った。
今更もう話すことなんてない。
俺は鷹来くんが好きなんだから。
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