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第189話

「何かあった?」 朝、迎えに来てくれた佑嗣に挨拶よりも先に尋ねられた。 俺は、どこまで話せばいいのか、どこから話していいのか分からない。 俺の中で、まだ整理が出来てないから。 「何もないよ」 「嘘。瑛翔って俺の前だと意外と顔に出やすいの知ってる?」 「…そんなことない」 「昨日、俺が帰ったあと何があった?祥馬からまたメッセージでも来てた?」 俺は首を振る。 「じゃあ何?」 「……言えない」 「どうして?」 「…先に鷹来くんと話したいから」 「そっか。まぁ、悩み過ぎんなよ。瑛翔は優しすぎるくらいだから、たまには自分の気持ちを相手に押し付けるくらいしてもいいと思う」 なにも知らない佑嗣の言葉が、今の俺には胸に沁みる。 俺の気持ちを、押し付ける… 俺は、祥馬に好きだって気持ちを押し付けてた? いや、そんなことない。 俺は、押し付けたことなんて一度もない。 それどころか、忘れようとしてたんだ。 出来てないけど。 先に鷹来くんに話したいなんて嘘だ。 言えるわけない。 「…自分が最低過ぎてもう、どうすればいいか分からない」 「瑛翔お前…」 と、佑嗣が声を掛けかけた時だった。 「瑛翔おはよう」 祥馬がいた。 俺たちの家の最寄り駅に。 「…祥馬、お前の最寄隣駅だろ?何でいんの?」 「瑛翔に会いに」 「は?」

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