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第190話

「祥馬っ…もうほんとに…」 「今日別れるから」 「…っ!!だめだ!」 「いや、もう決めたから」 「別れるって…澪央ちゃんと?」 「そうだけど」 「何で?」 佑嗣は何も知らない。 まだ、昨日のことを話せない… 「…俺からは何も言わねぇよ。瑛翔、お前からなら話してもいい」 「…話すわけっ…!」 「それ言いたかっただけだから、先行くわ」 そう言って、あっさりと祥馬は改札へ入って行った。 「瑛翔」 いつもは優しい佑嗣の声に、怒気が含まれているのがすぐに分かった。 「…なに…?」 「お前本当に鷹来に話す気ある?」 佑嗣はエスパーなのか? 勘が鋭すぎて、時々怖い。 「…あの、」 怖くて佑嗣の顔が見れない。 何も言えないでいると、佑嗣が先に口を開いた。 「とりあえず早く行こう。遅刻する」 先を歩いて行く佑嗣の後を追った。 学校に着いたのは始業の5分前で、昼休みに話を聞かせるように言われた。 まるで地獄へのカウントダウンのように思えた。 そして、そういう時ほど時間が経つのが早く感じる。 「瑛翔、来て」 「…」 無言でついて行った。 そこはいつもの空き教室。

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