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第191話

「俺ちょっと考えたんだけど、祥馬が彼女と別れる理由。しかもそれを瑛翔に報告する理由」 俺は変わらず佑嗣の顔が見れない。 「祥馬と昨日会ったんだよな?」 「っ…」 「一昨日とは祥馬の様子が違った。それに、別れるってわざわざ瑛翔に言いに来た。っていうことはつまり、そういうことだ」 俺は俯いたまま何も言わない。 何も、言えない。 「瑛翔、自分のこと最低だって言ってたのは、どうして?さっきの様子じゃ、祥馬が澪央ちゃんと別れるのは反対なんだろ?」 まだ、祥馬のことを忘れられてないって知ったら、佑嗣は俺のことを軽蔑するだろうか… 「…」 「話す気ない?」 望んでない。 俺は、祥馬との関係を、何も望んでいない。 悪化しなければ、とも、関係が良くなれば、とも。 「…俺は、これ以上祥馬との関係が悪くなっても仕方ないと思ってたし、今更、元の関係に戻りたいとも思ってない」 祥馬への期待は、文化祭のあの日に消えていったんだから。 「どういうこと?」 「…昨日、佑嗣と別れて、部屋に入ったら、祥馬がいた」 「え?」 「祥馬は、俺の家で待ってたんだよ。俺のことを」 ちらりと佑嗣を見ると、その表情は見る見る内に歪んでいく。 「…それで、何を言われた?」 正直に言うのが怖い。

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