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第193話
「それは仕方ないんじゃない?」
「えっ?」
予想してなかった返答に、目を丸くした。
「俺は、忘れられないでいる瑛翔を責めるつもりはないよ。まぁ…あんなやつ、早く忘れろって言いたいけど、それが簡単に出来たら、何年もの間に何度も、彼女作ったりしてないよな」
佑嗣は俺から離れ、近くの机に腰を下ろした。
「せっかく鷹来のこと好きになれたんだし、俺はそのうち忘れられる日が来ると思うよ」
「でも、祥馬が…」
「そう、祥馬が絡んで来なければ…な。今の様子じゃそれは難しそうだけど」
やっぱり俺は…
「瑛翔。嫌なことは嫌だと、されたくないことはちゃんとやめろって拒否するんだよ。傷つけられないって、我慢して、許してたら、傷つくのは瑛翔だけじゃない。鷹来だって傷つくよ」
「鷹来くんが…」
「俺だって、瑛翔が傷つくのは嫌だよ」
「佑嗣…」
その時、突然教室の扉が開いた。
「あ、見つけた」
そこに居たのは祥馬だった。
「…お前ら、本当仲良いよな。…そうだ、俺佑嗣に聞きたいことあるんだけど」
「何?」
「何であの日、瑛翔にキスしたんだよ」
それは、俺も聞かなかったこと。
自分の中で自己解決したから。
「…お前も瑛翔のこと好きなんじゃねぇの?」
「好きだよ」
「えっ?」
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