193 / 260

第193話

「それは仕方ないんじゃない?」 「えっ?」 予想してなかった返答に、目を丸くした。 「俺は、忘れられないでいる瑛翔を責めるつもりはないよ。まぁ…あんなやつ、早く忘れろって言いたいけど、それが簡単に出来たら、何年もの間に何度も、彼女作ったりしてないよな」 佑嗣は俺から離れ、近くの机に腰を下ろした。 「せっかく鷹来のこと好きになれたんだし、俺はそのうち忘れられる日が来ると思うよ」 「でも、祥馬が…」 「そう、祥馬が絡んで来なければ…な。今の様子じゃそれは難しそうだけど」 やっぱり俺は… 「瑛翔。嫌なことは嫌だと、されたくないことはちゃんとやめろって拒否するんだよ。傷つけられないって、我慢して、許してたら、傷つくのは瑛翔だけじゃない。鷹来だって傷つくよ」 「鷹来くんが…」 「俺だって、瑛翔が傷つくのは嫌だよ」 「佑嗣…」 その時、突然教室の扉が開いた。 「あ、見つけた」 そこに居たのは祥馬だった。 「…お前ら、本当仲良いよな。…そうだ、俺佑嗣に聞きたいことあるんだけど」 「何?」 「何であの日、瑛翔にキスしたんだよ」 それは、俺も聞かなかったこと。 自分の中で自己解決したから。 「…お前も瑛翔のこと好きなんじゃねぇの?」 「好きだよ」 「えっ?」

ともだちにシェアしよう!